睡眠時無呼吸症候群

ご家族やパートナーの方から、「いびきがうるさい」とか「寝ている時に息がとまっている」といわれたことはありませんか?
いびきは、鼻やのどといった息の通り道が狭くなることで、息を通るときに無理やり狭いところを通るため振動して音がなり、いびきが起こります。
睡眠時無呼吸症候群とは、文字通り寝ているときに息が止まる病気で、この言葉を聞いたことがある方も多いかと思います。実はいびきと密接な関係があり、いびきをしている人の10人に1人は睡眠時無呼吸症候群であるとの報告もあります。 睡眠時無呼吸症候群の主な症状として日中に眠気が突然に襲ってくることがありこれが大きな問題となります。
仕事中や電話の途中、あるいは車の運転中に急に突然眠気が襲ってきて、交通事故を繰り返すという事例もあります。
またこの病気に関連する事故は古くから沢山報告されています。
例えば、
・アメリカのスリーマイル島原子力発電所爆発事故(1979年)
・アメリカのスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故(1986年)
・旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所爆発事故(1986年)
国内においては、この病気に関連して、新幹線の居眠り運転という事件もありました。

これらの事故がこの病気に関連すると言われています。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんは
・85%は男性
・罹患率は男性の約4%, 女性の約2%
・患者の約三分の二は肥満を合併
・高血圧(2倍の有病率)や心血管疾患(3倍)を合併している
・交通事故を起こす頻度が高い。(7倍)。
など全身の病気、生命に関わる病気を引き起こす可能性が、通常よりも高くなることはこれまでの様々な調査からも明らかになっています。

  • 睡眠時無呼吸症候群の定義

    睡眠時無呼吸症候群とは文字通り寝ている時に息が止まる病気です。
    「無呼吸」は10秒以上の呼吸が停止すること(Apnea Index)で、「低呼吸」は呼吸による換気が10秒以上50%以下に低下すること(Hypopnea Index)です。この二つの回数を合わせた数字、
    無呼吸の回数+低呼吸の回数=無呼吸低呼吸指数(AHI)
     ・睡眠1時間あたり平均5回以上、
     ・7時間の睡眠中に30回以上
    上記のいずれかを満たす場合、睡眠時無呼吸症候群と診断されます。
    一般的には、AHIが1時間に5回以上15回未満は「軽症」、15回以上30回未満は「中等症」、30回以上ある場合は「重症」と見なされます。

  • 症状

    いびき、日中傾眠、夜間中途覚醒(熟睡感の欠如)、性格の変化(抑鬱傾向)、朝起床時の頭痛、集中力・判断力・記憶力の低下、睡眠時の多動、多汗、夜間頻尿、性欲減退など多岐にわたります。 眠気の評価法としてEpworth sleepiness scale (ESS)というものがあります。一度ご自身でチェックしてみてください。 5点以下正常と考えていいですが、10点以上の方は要注意です。

    点数
    0:決して眠くならない,
    1:まれに眠くなる,
    2:時々眠くなる,
    3:つねに眠くなる

  • 睡眠時無呼吸症候群の原因や増悪因子

    無呼吸が起こる原因は、
    ・息の通り道が狭くなっている(閉塞性無呼吸)
    ・呼吸中枢が抑制されている(中枢性無呼吸)
    が挙げられます。
    閉塞性無呼吸の原因
    肥満、飲酒、睡眠誘導剤、加齢、耳鼻咽喉科疾患(アデノイド、扁桃肥大、アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎など)、小顎症などの骨格、末端肥大症、甲状腺機能低下症など多数挙げられます。
    中枢性無呼吸の原因
    脳血管障害、頸部外傷のほか、慢性の呼吸疾患(COPDなど)による脳の低酸素状態によって起こります。
    睡眠中の酸素不足により心臓血管系循に負担がかかるため、
    不整脈、高血圧、心不全、虚血性心疾患、糖尿病の悪化や突然死の原因にもなります。
    睡眠時無呼吸を改善すれば生活の質が劇的に改善される方も少なくありません。

  • 睡眠時無呼吸症候群の検査

    検査を行うにあたり、睡眠時無呼吸が有るのかどうか?その程度は?全身的な合併症の有無は?責任部位は?治療はどうするか?
    といったことを考えていく必要があります。
    ①問診や身長、体重などの体格、血圧、脈拍数、BMIの計算
    アルコール摂取の有無、睡眠剤内服の有無、内科的な肥満度や高血圧などの循環障害の判定し、基本的な状態を把握します。
    ②口腔内の診察や喉頭ファイバースコープで確認
    耳鼻咽喉科的な検査ではファイバースコープで鼻から気管まで狭窄部位の有無を確認します。
    ・肥満による咽頭の狭窄
    ・上気道の異常の有無
    アデノイド、扁桃肥大 軟口蓋下垂、鼻中隔湾曲症、アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎
     喉頭ポリープ、喉頭腫瘍、声帯運動障害
    ・顎・口腔の形態異常:
     小下顎、後退下顎、末端肥大症などによる舌の肥大の有無
    ③睡眠ポリグラフ:Polysomnography (PSG) 
    検査装置で睡眠中の状態を実際に観察します。センサーを鼻やのど、手に装着して寝るだけですので簡単に測定できます。無呼吸の程度とおおよその原因が判ります。
    無呼吸の回数+低呼吸の回数=無呼吸低呼吸指数(AHI)を測定し、重症度の判定を行い、治療を進めていきます。
    ④画像検査(セファロメトリーなど)
    必要に応じて画像検査を行うことがあります。セファロメトリーは顔のX線写真撮影で、骨の形によっていびき、無呼吸が起こりやすいかどうかチェックします。歯科、口腔外科の先生に依頼します。

  • 睡眠時無呼吸症候群の治療

    治療については無呼吸の程度や狭窄部位によって変わってきます。体重減量、薬による治療、鼻マスクによる呼吸の補助、マウスピースなど歯科装具の着用、手術などがあります。
    ①保存的治療
    ・ダイエットによる体重のコントロールを行います。
    ・鼻閉の改善など鼻の通りの改善を図ります。
    アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があれば治療が必要となります。
    ・睡眠誘導剤、精神安定剤等の呼吸抑制する薬剤の服用を可能なかぎり中止していきます。
    ・禁酒・禁煙を行っていただきます。
    ・睡眠時体位を側臥位、腹臥位で行うなど、体位の工夫を試してみます。
    経鼻的持続陽圧呼吸(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)
    寝るときに機械とマスクをつけて、鼻や口から空気を送り、息の通り道に一定の圧力をかけて広げておく治療です。これにより気道が広がり、特に閉塞性無呼吸を来たしている患者さんの症状が劇的に改善し、現在、睡眠時無呼吸症候群の治療の主流となってます。
    しかしCPAP療法は根治療法ではありません。毎日使用することによって効果を維持することができますが、使用しないときは睡眠時無呼吸症候群のまま状態ですので、この治療をずっと継続していくか、別の原因となる治療(肥満や鼻の状態の改善など)を行う必要があります。
    ③口腔内装具
    下顎プロテーゼ(マウスピース)を作成します。下顎を前方に移動させることで舌が前方に移動し息の通り道が広くなります。肥満が無くて小さな顎の人、軽~中等度の無呼吸のケースで効果が高く、約半数の人が改善を自覚します。しかし口腔乾燥 顎関節の痛み、歯の違和感などを訴えるひともいます。
    ④手術治療
    外科的治療として以前は、口蓋垂軟口蓋咽頭形成術(UPPP)という手術が積極的にされていました。しかし長期的な成績の有効性は決して好ましくないという報告が相次ぎ、現在はあまり行われなくなりました。
    患者さんの状況に応じて鼻の手術や口蓋扁桃摘出術を行うことがあります。特に小児の場合は、扁桃摘出術・アデノイド手術により90%以上の改善します

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