めまい

“めまい“と一言でいっても、さまざまな病気があります。 脳梗塞や脳出血などの脳の病気で起こる”めまい“もありますし、高血圧や低血圧など血圧の変動、不整脈など心臓や血管の病気で”めまい“を自覚することもあります。 他には、肩こりがひどい方、足腰が弱い方、女性ホルモンのバランスの崩れ、貧血、疲労、精神的な病気、自律神経の乱れ、加齢による平衡機能の低下など、さまざまな原因があります。
耳鼻科で扱う“めまい”は、おもに三半規管(前庭)に異常があり、ぐるぐる目が回る、めまいです。
体は、耳の奥にある三半規管のほか、目、体幹で感じた情報を小脳で統合されバランスをとっています。 耳の障害、三半規管(前庭)に障害があると天井がぐるぐる回る、あるいは景色が左右に流れていくようなめまいを自覚します。

  • めまいの検査、診断

    ①問診
    めまいの原因は多種多様ありますが、実は診断に最も大切なのは問診です。
    めまいとめまい以外の症状がどのようなものがあるのかを確認することが必要です。
    通常めまい症状に加えて吐き気、嘔気などは、多くのめまいで見られます。それ以外にどのような症状があるかで、原因が絞られてきます。
    めまいの性状が、ぐるぐる回る(回転性)、ふわふわする(浮動性)目の前が真っ暗になる、などの性状が、めまいの原因によって変わってきます。
    また、めまいの持続時間や、誘因となるきっかけ(立ち上がったとき、寝返りをうったとき、起き上がったときなど)、 随伴する症状(難聴、吐き気、頭痛、動悸、手足のしびれ、しゃべりにくい、物が二重に見える)の有無、その他(疲労、肩こり、生理不順の有無など)患者さんの生活背景などを確認して病気の原因を絞っていきます。
    ②聴力検査
    聴力検査で聴神経や内耳の働きを確認します。聴神経の働きをみます。耳鼻科で扱うメニエール病や突発性難聴では、異常が見られます。
    ③頭位変換眼振検査
    赤外線カメラで目を拡大して観察し、頭や首の位置を変えてめまいの誘発をみます。
    メニエール病、前庭神経炎、突発性難聴、良性発作性頭位めまい症などでは、眼振と呼ばれる目の動きが観察されます。
    ④重心動揺検査
    耳、目、小脳、体幹の知覚をみます。また重心動揺の程度が治療によってどの程度回復してきているかの比較ができます。
    ⑤その他
    ・脳神経検査
    目の動き、顔の動き、手足のしびれ、舌の動きなどを観察し、脳神経の異常の有無をチェックします。また指鼻試験、など小脳や脳幹の異常をチェックします。
    シェロングテスト
    立位、座位での血圧の変動、立ちくらみ、の有無を確認して、血圧の異常や自律神経の調整機能をみます。
    ・血液検査
    貧血の有無、肝腎機能、血液の電解質のバランス、糖尿病、ホルモン、自己免疫疾患の有無などをチェックします。
    ・MRIなどの画像検査
    中枢性(大脳や小脳)または聴神経の腫瘍など頭の病変を疑う場合には画像の検査を行います。

  • めまいを起こす様々な病気

    メニエール病

    ・メニエール病
    内耳はリンパ液という液体で満たされています。そのリンパ液が過剰になる(内リンパ水腫)ことで、めまいや、吐き気、耳鳴り、難聴が起こる病気です。 特に低い音の聞こえが悪くなり、ぐるぐる回る回転性のめまいが、数十分から数時間起こるのが特徴です。めまいを起こすごとに徐々に難聴が進行することもあります。

    ・遅発性内リンパ水腫
    以前より難聴の既往があり、何年も遅れて回転性めまいを起こすことがあり、遅発性内リンパ水腫と呼ばれます。病態はメニエール病と似ています。

    ・良性発作性頭位眩暈症(BPPV)
    三半規管には耳石という石があり、その石が本来あるべき部位から剥がれ落ちて、三半規管の中を移動することで、つよい回転性のめまいを誘発します。 頭を傾けたり、寝返りや寝たり起きたり、といった頭の位置を動かすことで、めまいが誘発され、数十秒続き、治まってきますが、頭を動かすと、また同じようなめまいをくり返します。
    女性に多く、まためまいの中でも最も頻度が多い疾患です。

    ・突発性難聴
    突然なんの前触れもなく聞こえが悪くなる病気ですが、障害が強い場合にはめまいを合併することがあります。

    ・前庭神経炎
    ヘルペスウイルスがバランスをつかさどる前庭神経の中で活性化して神経障害が起こると考えられています。 めまいは数日間続くこともあり、吐き気を伴います。めまい症状が強く日常生活に支障がでて、吐き気のため食欲も落ちることがあります。 難聴や耳鳴りは伴いません。めまいが治ったあとも、ふわふわする感じが長引くことがあります。

    ・聴神経腫瘍
    非常にまれですが、内耳の神経に良性腫瘍ができることがあります。初発症状が耳鳴りであることが多く、経過とともに腫瘍が大きくなると難聴やめまい、顔面神経麻痺を来たすことが典型的です。 良性腫瘍であり急速に大きくなることはほとんどありませんが、MRIなどの検査を行わないと診断ができません。

    ・外リンパ瘻
    鼻を強くかむ、外傷、ダイビングなど内耳の圧力の急激な変化により、リンパ液が中耳に漏れることで、回転性めまい、難聴、耳鳴りを起こします。 耳鳴りは小川のせせらぎのような水が流れるような音が聞えると言われています。この病気も問診が非常に大切で、鼻を強くかんだあとに耳が変になってめまいが起こった、などの典型的なパターンが多いです。 早期に治療を開始しないと難聴の後遺症が残る可能性があり、確定診断および治療のため手術が必要となることがあります。

    ・ラムゼイハント症候群
    帯状疱疹ウイルスの感染により、耳介や外耳道の炎症による耳の強い痛み、難聴、めまい、顔面神経麻痺を起こします。 すべての症状が出ない場合、不全型ハント症候群と呼ばれます。
    いずれも耳の激痛に始まり、徐々に耳の周囲の発赤腫脹が強くなります。難聴、めまい、顔面神経麻痺は症状が出始めてから、3日以内に起こることが多いとされています。 この病気を疑った場合には、痛み以外の症状が乏しくても治療を開始することがあります。

    ・急性中耳炎の内耳炎
    急性中耳炎の経過中に中耳の炎症が内耳に及んで、難聴や耳鳴り、めまいを起こすことがあります。 特に難聴に関しては早期の治療が必要で、鼓膜切開やチュービングを行い、抗生剤とともにステロイドの投与が必要になることがあります。

    耳鼻科領域以外のめまいの病気
    脳梗塞、脳出血、小脳腫瘍などの脳の病気は緊急を要する疾患です。
    その他、椎骨脳底動脈循環不全、一過性脳虚血発作(TIA)、低髄液圧症候群、パーキンソン病、起立性調節障害(立ちくらみ)、貧血、 不整脈、高血圧、低血圧、糖尿病、更年期障害、自律神経失調、心因性めまい、パニック障害
    などめまいを起こす病気は多数あります。

  • 注意していただきたいこと

    ・めまいで圧倒的に多いのは耳鼻科領域のめまいです。
    ・耳鼻科領域のめまいの典型例は急性期に回転性めまいが起こり時間とともにフワフワするめまいに変わっていくことが多いです。 症状が比較的強いですが、生命に関わることはほぼありません。
    ・めまいの診断に大事なのは、めまい以外にどのような症状があるかという点です。 めまいが起こったときに、まず確認することは、手足がちゃんと動くか、感覚はあるか、目はちゃんと見えるか、などの脳神経の症状を確認し、もしおかしいと思えば脳神経外科の先生の診察も受けてください。
    ・めまいの中で最も怖い病気は脳梗塞、脳出血などの生命に関わる病気です。これらはめまい症状に加えて、脳神経の症状を伴うことが多いと言えます。 めまいに加えて頭痛、複視など視力障害、言葉が出にくい、手足のしびれや麻痺などを合併すれば急いで検査をする必要があります。

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