頸のしこり(頸部腫瘤)、頸部リンパ節腫脹
頸にしこりを自覚されたとき、何科を受診すればいいのか、わからない方が多くいらっしゃるかと思います。 鎖骨より上から顔面までの領域のしこりは、耳鼻咽喉科で扱う病気であることが多いので、まず耳鼻咽喉科に相談していただくことをお勧めしています。
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頸のしこり原因
頸部のリンパ節腫脹
原因となる病気は、しこりができた頸部の部位によっても絞ることができます。
前頸部(頸の前面)甲状腺腫瘍、正中頸嚢胞など
側頸部(頸の正中より左右にずれた部位):側頸嚢胞、神経鞘腫、リンパ節腫脹など、
耳下部:耳下腺腫瘍、リンパ節腫脹
顎下部、オトガイ部:顎下腺腫瘍、舌下腺嚢胞(ガマ腫)皮様嚢腫、リンパ節腫脹など
頸のしこりは上記のように多種多様にわたります。
その中でもリンパ節の腫脹は、風邪や感染症などによって起こることが多く頻度が多いものです。 例えば咽頭炎や扁桃炎になるとあまり心配がないことが多いですが、まれに癌の転移で腫れることがあります。
転移を疑うリンパ節腫脹であれば、癌がある部位(原発巣)を探す必要があります。 側頸部であれば咽頭癌、喉頭癌など、耳の下であれば耳下腺腫瘍や外耳道癌など、顎の下であれば口腔内に病変がないかどうかチェックする必要があります。 -
頸のしこりの検査
①問診、視診。触診
問診で、感冒の既往があるかどうか?痛みがあるかどうか?急速に大きくなってないか?しこり以外に症状がないかどうか?しこりは硬いか柔らかいか? 可動性があるかどうか?単発なのか複数あるのか?嗜好歴(アルコール、タバコ)など確認していきます。
②頸部超音波検査(エコー検査)
頸部超音波検査は、簡単にできること、患者さんの負担が少ないこと、かつ得られる情報も多く、非常に有用な検査です。 しこりの見え方で良性、悪性の判定をある程度までは行うこともできます。またエコーガイド下で細胞に針をさして検査(細胞診)を行うこともできます。
③細胞診
エコー検査でしこりを観察しながら、針を刺して細胞の一部を検査し、そのしこりの診断を行っていきます。
④ 鼻腔および喉頭ファイバースコープ
頸部のしこりが悪性腫瘍の転移が疑う場合などはファイバースコープにより鼻腔、口腔、咽頭の観察を行います。
④その他
血液検査や CTやMRIをオーダーすることもあります。
⑤細胞診
細胞診は、腫瘤に注射針で刺して細胞を吸引します。甲状腺腫瘍、癌の転移リンパ節などの良性か悪性かを診断するのに非常に有効な検査です。 悪性リンパ腫など一部の腫瘍は細胞診では判定することが難しいため、その場合は総合病院にご紹介でリンパ節を塊でとって調べることが必要です。 -
注意していただきたいこと
・頸には特に病気がなくても、リンパ節が存在しており人によっては、しこりを触れることがあり、必ずしも異常ではありません。
・咽頭炎、扁桃炎などの風邪症状が先行して、頸のしこりを触れることがよくあります。 感染が治まると、基本的にはリンパの腫れもおさまっていきますが、しばらく腫れが残ることもあり、一か月以上腫れた状態が続くことも珍しくありません。
・風邪症状もなく、痛みもなく、急に腫れてきたという場合は、怖い病気のことがありますので、早めに診察を受けてください。