声のかすれ
喉の奥に声帯という声を出す器官があり、声を出す時、左右の声帯が中央に寄り、声帯の表面の粘膜が波打つように動くことで声が出ます。呼吸しているときは声帯が左右に開いています。
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声のかすれの原因
声帯ポリープ
ポリープ様声帯
声帯結節
喉頭癌
“声のかすれ“は声帯に異常があり症状が出ます。
下記の2つの原因が主な原因となります。
①声帯の表面に異常がある
②声帯の動きが悪くなる(神経の麻痺)
①声帯の表面に異常がある
代表的な例は、声帯炎です。風邪症状の後、声帯の炎症を起こし声のかすれが出ます。 声帯に隆起ができるために声のかすれが生じる病気は、声帯ポリープ、ポリープ様声帯、声帯結節、喉頭肉芽腫といったものです。 悪性腫瘍では喉頭癌が代表的な疾患です。また、声帯の上方の仮声帯というところが腫れると声のかすれが出ます。粘膜の下の腫瘍(リンパ腫や神経鞘腫など)はその一例です。
②声帯の動きが悪くなる(神経の麻痺)
声帯を動かしている反回神経という神経が麻痺することにより声のかすれが生じます。また、迷走神経という反回神経の元となる神経の麻痺でも声帯が動かなくなります。
反回神経が麻痺する病気として、甲状腺癌や喉頭癌、下咽頭癌などの喉の癌や、食道癌、肺癌などが挙げられます。大動脈瘤など神経を圧迫することで麻痺することもあります。
迷走神経が麻痺する病気として脳梗塞や頭蓋底の腫瘍、交通事故などの外傷、などが挙げられます。
その他に風邪を引いた後、声帯の麻痺がおこることがあります。風邪を引き、声が嗄れて、声のかすれが2,3週間治らない場合、神経麻痺が見つかるケースがあります。 -
声のかすれの診断
①問診、喉の診察、頸部の触診、喉頭鏡での観察
経過を聞くことで病気がある程度絞ることができます。風邪を引いたりしなかったかどうか、タバコを吸っていないか、などです。 その上で頸の腫れの有無、喉頭の観察を行い、声帯の表面の異常や声帯麻痺の有無を
②咽喉頭ファイバースコープによる観察
反射の強い患者さんや奥が喉頭鏡で観察が難しい人はファイバースコープを用いて声帯をしっかり観察します。小さな病変でも観察が可能です。
③頸部超音波検査
頸部に超音波を当てて内部を観察します。簡単に施行できる上に患者さんの負担も少ない検査です。特に甲状腺疾患や頸部リンパ節腫脹なども行います。
④血液検査
血液検査でアレルギーの有無、貧血の有無などを調べます。
⑤その他
頭頸部、頬部、食道などに病気がないかどうか、必要に応じて胃カメラ、CT、MRIを行います。 -
注意していただきたいこと
声のかすれの原因の多くは、風邪によるものです。その場合は1週間前後で治癒することが多いです。声のかすれが長引く場合にはご相談ください。
タバコ、お酒を飲まれる方は声帯の異常の有無をチェックしておくことが望ましいです。